1995年 折口信夫全集刊行会 中央公論社
折口信夫は1887（明治20）年、現大阪市浪速区に生まれます。少年期に自殺未遂を三度起こしていますが、大和へ旅行した際に室生寺奥の院で自殺を図った若き契沖に強く惹かれます。また同時期に仏教改革運動家の浄土真宗僧侶藤無染に出会い同居します。國學院大學に1907年に入学すると短歌に熱心になり、「アララギ」に登場する釈迦空の基盤を厚くしてゆきました。一方、國學院大学で三矢重松に国学の影響を受け、また『郷土研究』で柳田国男と接触します。23年には「アララギ」を北原白秋と脱し『日光』を創刊し、32年には日本民俗協会の設立に入り幹事を務めました。戦争を経た1953年この世を去ります。
民俗学は柳田国男と折口信夫によって出来上がっているといっても過言ではありません。本全集を通覧するとひとつのふとく永い思想がかれの名のもとに固有の文学としてなりたっているのが、ひしひしと感じることができるとおもいます。
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