宮本常一 1987年 未來社
その生涯をかけて日本各地をフィールドワークし、土地土地のリアルな生活や文化を記録し続けた民俗学者、宮本常一。代表作「忘れられた日本人」は文学的目線からも評価の高い名作として知られています。
1907年、山口県周防大島東和町生まれ。小学校卒業後は家業を継ぎ農家となりますが、父の勧めで学問の道へ進み、大阪府立天王寺師範学校を卒業。柳田國男の研究に興味を持ち、渋沢敬三に見込まれたことをきっかけに、民俗学の道へと進みます。
研究対象や分野が幅広く、漂泊民や被差別民、または性に関する問題などを重視した研究を展開。そのためルーツとなった柳田の学閥からは冷遇されてしまいましたが、後年は再評価が高まり、柳田民俗学にはない視点の広さがあるとされています。
フィールドワークに際し、1200軒以上の民家に宿泊したと言われる宮本常一。その膨大な調査記録は未収録のものも少なくありませんが、40冊を超える著作集として残されています。