平成13年 E・ケンペル著 今井正 編訳 霞ヶ関出版
ケンペル(1651~1716)。ドイツ人旅行家、博物学者、医師。スウェーデン使節団へ加わりロシアやペルシャ各地を回ったのちオランダ東インド会社へ就職。元禄3年(1690)に長崎出島商館付医師として日本へ入る。日本研究に励んだ。生前の出版物は「廻国奇観」のみであり、日本に関する遺稿は1727年に英訳本が刊行された。江戸には2回上がっている。
『日本誌』は社会、風俗、政治経済、宗教、自然などいたるところへ目が向けられ観察されており、みずから挿図の下絵を描いてまとめられた。これによりヨーロッパへ日本の正確なイメージが広まることになる。またディドロの『百科全書』日本関連項目の典拠にも利用されるほど信頼性が高い書物であった。
江戸を知ることだけではなく、その世界への影響もうかがうことのできる一書です。