2021年 左右社
南方熊楠 (1867-1941)
生物学者・民俗学者。和歌山の生まれ。
米国・英国に渡り、独学で動植物を研究し、各国語に精通。大英博物館に勤務し、論文などを執筆。帰国後は田辺市で粘菌の採集や民俗学の研究に没頭した。奇行の人として知られる。著「南方閑話」「南方随筆」「十二支考」など。
土宜法龍 (1854-1923)
明治・大正時代の僧。
真言宗。上田照遍に師事。明治26年シカゴの万国宗教大会に参加したのち、ロンドンで南方熊楠と親交をむすぶ。互いに意気投合し、パリ滞在中にロンドンの南方と書簡を交わすに至り、西域・チベットへの仏教探訪の旅を語り合ってもいる。また、南方が那智に帰ってからも文通が続き、南方の宗教観、特に曼荼羅論・宇宙論に大きな影響をおよぼしている。
本書は著者が2018年に同志社大学大学院に提出した論文を基盤に、新たに書き改めたものです。「ニニフニ」という真言密教の教義に由来する概念を、南方熊楠・土宜法龍のフィルターを通じた視点で語りなおした本書。日本の近代化、恋愛論、妖怪、霊魂など西洋哲学と東洋思想を融合させ、宗教や民俗まで巻き込んだ冒険的な1冊になっています。