2007年 法政大学出版局
ジャック・デリダ (1930 – 2004)
アルジェリア生まれのユダヤ系哲学者。
パリの高等師範学校で哲学を専攻。西洋形而上学におけるロゴス中心主義の脱構築を提唱し、文学・芸術理論、言語論、政治・法哲学、歴史学、建築論など構造主義以降の人文社会科学の広範な領域に多大な影響をもたらした。世界的な影響を与えている彼の著書は、『幾何学の起源 序説』(1962)を発表して以来ほぼ50冊に達している。このデビュー作に続く『エクリチュールと差異』(1967)は、脱構築思想の基礎を築いたものとして位置づけられている。さらに『声と現象』『根源の彼方に――グラマトロジーについて』(ともに1967)と立て続けに発表。とくに後者はポスト構造主義を担うデリダの形而上(けいじじょう)学批判の書であり、脱構築の宣言といえる中心的なテキストである。
本作は、ヘーゲル、ハイデガー、ルソー、ソシュール、フロイト、フッサールらとの関わりで、記号論、言語論、時間概念などの論考をまとめた、デリダの1970年代の重要なテキストの完訳です。ヘーゲルやハイデガーの時間概念を論じた「ウーシアとグランメー」、ルソーの言語論についての「ジュネーヴの言語学サークル」などが収められています。
デリダの基本思想が明らかにされる重要なテキストで、厳密かつ生成的な「脱構築」の思想を知る上で不可欠な1冊になっています。