2007年 現代思潮新社
ボリス・グロイス(1947-)
批評家・芸術理論家。
1947年東ドイツに生まれ、レニングラード大学で数学と哲学を学ぶ。1976年から1981年までモスクワ大学構造言語学部で研究員として勤務。70年代半ばから非合法雑誌への執筆や編集を手がけ、ハイデガーの翻訳紹介をはじめとしてソ連国内でいちはやくデリダ・ドゥルーズなどの西欧現代思想を紹介する。81年に西ドイツに亡命。現在ミュンスター大学附属哲学研究所助教授としてドイツに在住。現代を代表するアーティスト、イリヤ・カバコフとのコラボレーションも多い。主著に「全体芸術様式スターリン」(1988年)、「新しさについて」(1992年)、「コレクションの論理」(1997年・ミュンヘン)ほか美学・思想・美術評論など多数。
アヴァンギャルド芸術がどのように社会主義リアリズムに影響を与えたかを探求し、スターリン時代のソビエト芸術について論じた本作。ロシア・アヴァンギャルドはスターリン権力によって闇に葬られたという通説を打ち破り、現代ロシア文化の最先端の一部を垣間見ることができます。スターリン時代の芸術が単なるプロパガンダではなく、深い思想的背景を持つものであるとの主張をもとに、その後のソビエト芸術の発展や20世紀ロシア文化史を問い直す論争の1冊となっています。