2022年 みすず書房
ジェームズ・C・スコット(1936-2024)
イェール大学政治学部・人類学部教授。農村研究プログラム主宰。全米芸術科学アカデミーのフェローであり、自宅で農業、養蜂も営む。東南アジアをフィールドに、地主や国家の権力に対する農民の日常的抵抗論を学問的に展開した。ウィリアムズ大学を卒業後、1967年にイェール大学より政治学の博士号を取得。
専門は、政治経済学、政治社会学、とくに東南アジアの農村社会における叛乱・抵抗についての研究。農耕社会と国家を形成しない社会の研究、サバルタン政治学、無政府主義研究で知られている。
「どんな経緯があってホモ・サピエンスはこんな暮らし方をするようになったのだろう。」という著者の疑問の一文からはじまる本作。”ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた”のではないという壮大な論説からなる本著では、農業と国家の関係について、従来の見方を再考させる内容となっています。
考古学や人類学の最新の研究成果を基にした、壮大な仮説を提示した興味深い1冊です。