サルトル(1905~1980)
フランスの哲学者・小説家・劇作家。無神論的実存主義を主唱。
第二次世界大戦中には、反ナチス抵抗運動に参加し、戦後は、雑誌「現代」を主宰。文学者の政治・社会参加(アンガージュマン)を主張し、共産主義に接近、反戦・平和運動に積極的に参加した。1964年、ノーベル文学賞の受賞を拒否。行動的知識人として大きな影響力を持った。
その思想は実存主義であり、「存在は本質に先行する」という考え方で、まず人間の現実の存在から出発して人間革命を行い、ついで社会革命を行うと主張する。こうして人間の存在を重視する点で共産主義の唯物史観と対立する。
哲学論文「存在と無」「弁証法的理性批判」、小説「嘔吐」「自由への道」、戯曲「蠅」「悪魔と神」、評論「文学とは何か」など。
20世紀に一躍、実存主義ブームを巻き起こしたとしても有名である本書。
副題である『現象学的存在論の試み』からもわかるように、現象学的な立場から存在の問題に立ち向かった試みのある内容になっています。非常に難解ではありますが、著者特有の言い回しや独特のモチーフを楽しめる内容にもなっています。現代への思想的拠点を今も示し続けるサルトルの最大・最高の著作です。